概 要
本展に寄せて
今回は中国の古典『韓非子』の世界観を、独自の解釈で表現しました。
『韓非子』の著者である韓非は中国の戦国時代に生きた思想家です。秦の始皇帝は彼の書物を読み、「この著者に会えたら死んでもいい」と述べたと言われています。その思想を端的に表すと「性悪説」に基づく法家です。国を統一し、強くするために“法”の徹底と君主が習熟すべき“術”の必要性を説きました。
拙誠
つたないながらも誠意があること。

一方、“徳”で国を治めよと説く孔子に始まる儒家を強く非難しました。その率直な言説から、書道の題材としては少し扱いにくい面があるかもしれません。しかし、それだけに真を突き、現代人の心に刺さる言葉の強さがあるように思います。偉人の思想は、数千年の時を超えて大いに示唆に富んでいます。どうぞ書とともに脇に付した釈文に目を通していただき、韓非の思想の一端に触れていただけたら幸いです。
信賞必罰
賞すべき功績のある者は必ず賞し、罪を犯した者は必ず罰すること。

書風は前回に続き、諸子百家が活躍した時代の古味と、現代的な感覚との融合を目指しました。絶えない戦乱を生き延びようと、様々な思想が開花した当時の混沌としたエネルギーを、造形や線に宿そうと試行を繰り返しました。
法不阿貴、縄不撓曲
法は貴(たか)きに阿(おもね)らず、縄は曲に撓(たわ)まず
法の適用にあたって、身分の高い人だからといって、おもねって曲げてはならない。大工は、木が曲がっているからといって、その墨縄を曲げることはしない。

ぜひ感想ノートにご意見などをいただけましたら幸いです。
令和6年8月
佐藤 雄司
